藤本義一

1933年大阪府堺市生まれ。作家。
大阪府立大学卒。在学中にラジオドラマ、舞台劇など数々の脚本を手掛ける。
1957年「つばくろの歌」で芸術祭長編部門文部大臣賞。
卒業後、宝塚映画撮影所、大映などでシナリオを数多く執筆。
1965年からはテレビ「11PM」の司会者を務める。
1974年に「鬼の詩」で直木賞を受賞。
主な作品に「螢の宿 わが織田作」「はぐれ刑事」「贋芸人抄」など多数の著作がある。


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第12回芸術祭賞 『脚本賞』 つばくろの歌 (ラジオドラマ)  1957年
第2回文芸賞 戯曲部門 『佳作第一席』 日時計の家 (戯曲) 1963年
第61回 直木賞候補 ちりめんじゃこ  1968年
第62回 直木賞候補 マンハッタン・ブルース  1969年
第65回 直木賞候補 生きいそぎの記  1971年
第1回 「噂」 小説賞  1972年
第71回 直木賞 鬼の詩  1974年
第31回 日本推理作家協会賞 短編部門 街に殺意が一杯  1978年
第1回 関西大賞   1986年
第7回 日本文芸大賞 螢の宿  1987年

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鬼の詩 / 講談社 / 1974年

第71回 直木賞 受賞作

螢の宿〜わが織田作 / 中央公論社 / 1986年

第7回 日本文芸大賞 受賞作





生きいそぎの記 / 講談社 /1974年

 貸間あり
監督  川島雄三
脚本  川島雄三 、 藤本義一
原作  井伏鱒二
製作  滝村和男
撮影  岡崎宏三
美術  小島基司
音楽  真鍋理一郎
録音  鴛海晄次
照明  下村一夫
編集  庵原周一
助監督 辻村光慶
与田五郎
津山ユミ子
谷洋吉
おミノ
御隠居
村上お千代
宝珍堂
お澄

西原作一
野々宮真一
熊田寛造
島ヤスヨ
高山彦一郎
高山教子
江藤実
登勢
権田
西村陽子
四方山
フランキー堺
淡島千景
桂小金治
浪花千栄子
沢村いき雄
乙羽信子
渡辺篤
西岡慶子
頭師満
藤木悠
益田喜頓
山茶花究
清川虹子
加藤春哉
市原悦子
小沢昭一
津川アケミ
福山博寿
乙羽信子
宮谷春夫

東宝 1959年



そのとき僕は不逞にもこういうことを思ったんです。
世の中というのは誰かに選ばれるのを待つようじゃ駄目なんだと。
それよりも弟子になるというんじゃなしに、弟子の方から
まっすぐに師匠を選ぶ権利を持ってもいいのではないか。
人間というのは人を選んでいいんじゃないかと。
つまりこの人に終生ついていってもいいという人を
選んでもいいんじゃないかという気になったんですね。

師匠・川島雄三を語る より抜粋


「君、酒、好きですか」
「好きです」
「君、女、好きですか」
「好きです」
「コイコイ、ハチハチ、チンチロリンはどうですか」
「あまりやりません」
「どうしてですか」
「勝てば当たり前と思い、負けると口惜しいのです」
「う、ふっ、ふぁ。では、今夜から来なさい。
但し、シナリオについては、手をとって教えるということはしない。
そんなことをして、出来るものなら、誰でも映画を創れます」

生きいそぎの記 より


ひとつの時代を川の流れとしましょうか。
そうすると黒澤明がいて、市川崑がいてですね、太陽光線がありますね。
水面があって、水面の中で光というのは屈折しますね。
この水面下の光の明るさみたいなものを持ったものが、
僕は川島雄三の作品だと思ってるんです。

師匠・川島雄三を語る より抜粋



川島雄三、サヨナラだけが人生だ /  河出書房新社 / 2001年